2016年6月30日、パブリックコメント募集に係っていた「電力の小売営業に関する指針(電力小売指針)」改定案に意見提出しました。
今年1月に制定された電力小売指針ですが、電力自由化開始後の状況を踏まえ改定案が出されました。
これを受けてパワーシフトで、消費者が適切に情報を得て電気を選べる観点から、意見提出致しました。

意見提出書(全文)>>>電力小売営業指針改定案パブコメ_パワーシフト_160630

【意見の概要】

1.電源構成開示は義務化すべき
 電源構成は、需要家が電力会社を選択する際に、価格だけでない比較検討を行う際に欠かせない情報の一つである。政府内外や各所からの声により、2016年5月の資源エネルギー庁の調査では、開示済みが3割、開示予定を含めても7割にとどまり、その他約3割の事業者は明確な開示予定がない。それでは、比較検討を行うために十分な情報が提供されているとはいいがたい。
 そこで、情報開示をより進めるためにも、現在の「望ましい行為」としての記載にとどまらず、義務化すべきである。

2.消費者に分かりやすい適切な開示方法
 現状では、電源構成開示を始めている電力会社も増えてきてはいるが、「分かりやすい形で」記載されているかについては、まだ十分ではない。小売電気事業者によっては、ウェブサイト上に記載はあるものの、階層の深いところや目立たない場所に記載されている場合もある。
 消費者に分かりやすい具体的な開示方法について、指針の中で示すべきである。

3.放射性廃棄物の排出量の開示
 原子力について、「二酸化炭素排出量がゼロの電源(いわゆる『CO2ゼロエミッション電源』)」とされているが、放射性廃棄物や放射性物質の排出があることについては触れられておらず、誤解を招きかねない。
 すでにEU指令などでは、放射性廃棄物の排出量の開示も含めて義務化されており、日本も二酸化炭素排出係数と合わせ、放射性廃棄物の排出量開示を追加すべきである。

4.自社調達と他者調達は分けて開示すべき
 自社での調達と、常時バックアップ分など他社からの調達とは明確に区別されるべき。例えば、FIT電気や再生可能エネルギーを自社調達し、それ以外を卸売市場や他社から調達する場合がある。その場合に、自社が意図して調達した電源と、他社が調達した電源とは、需要家にとって意味合いが異なる。
 そのうえで、他社からの調達分の電源構成の仕分けについては、あれば望ましいが、その割合が小さい場合などは、かえって煩雑になってしまうことが懸念される。内容の注記などで代替することも考えられる。

5.FIT電気について適切な説明を
 FIT電気という用語は一般の需要家にはなじみがなくわかりにくい。「二酸化炭素が排出されない電気であることの付加価値を訴求しない」ことの説明だけでは不十分であり、そもそもどんな電気なのかがわからない。FIT電気は再生可能エネルギーの発電所から調達していることをまず説明すべきである。また、エネルギー供給構造高度化法ではFIT電気もふくめて「非化石電源」とされている。
 これらを踏まえ、FIT電気は再生可能エネルギーの電源であることが説明され、そのうえで固定価格買取制度の補助を受けているために、CO2ゼロの価値などを訴求しないFIT電気としていることを説明すべきである。CO2排出係数についても、調整前の排出係数(※)と併せて記載されるべきである。

※FIT電気の排出係数
FIT電気は、一事業者が環境価値を訴求してはならない観点から、CO2排出についても全電源平均の量に調整される。しかし実際は再生可能エネルギーなのでCO2を排出せず、調整前の排出実態に沿った係数はゼロとされる。

【参考】
EU指令、およびドイツエネルギー事業法における電源構成開示・表示

■欧州議会及び理事会の指令2009/72/EC (2009年7月13日)
(EU電力域内市場指令)

第3条 共同経済上の義務及び顧客の保護

(9) 加盟国は、電力供給企業が請求書又はその添付書及び最終消費者向けの広告において、以下のことを表示することを確保する:

a) 理解しやすく国内で明確に比較可能な方法による、供給者が前年に用いた全エネルギー源構成に占める個々のエネルギー源の比率

b) 環境影響についての情報-少なくとも供給者の前年の全エネルギー源構成に起因するCO2排出量及び放射性廃棄物量を含む-が公表されているインターネットなどの情報源

c) 紛争が生じた場合に利用出来る紛争解決手続に関する権利についての情報

 a)及びb)において、電力市場で調達又はEU外の企業から輸入した電力の量に関しては電力市場又は当該企業から示された前年の合計量を基礎に算定することができる。
 国内の規制当局その他の管轄庁は、供給企業から本項に基づいて消費者に提供される情報が信頼でき、かつ、国内で明確に比較可能なものとして提供されるよう必要な対策を講じる。

■ドイツ「エネルギー事業法」 (42条について2005年7月7日制定)

42条 電源表示、電力請求書の透明性、法規命令への委任

(1) 電力供給企業は、最終消費者向けの請求書上またはその添付書類において、これらの顧客に向けた広告媒体において、並びに、電力の販売のためのインターネットサイトにおいて、以下の事項を掲げなければならない:

1 前歴年及び前々歴年に当該供給者が用いた全エネルギー源構成に占める個々のエネルギー源(原子力、石炭、天然ガス、その他の化石エネルギー源、再生可能エネルギー法によって援助された再生可能エネルギー、それ以外の再生可能エネルギー)の割合; 遅くとも11月1日以降は前暦年の値を掲げなければならない;

2 環境影響、少なくともCO2排出量と放射性廃棄物量(1号に掲げた発電用の全エネルギー源構成に起因し得るもの)ついての情報

(2) エネルギー源構成及び環境影響についての情報には、ドイツの発電における平均値を併記するとともに、消費者にやさしく、かつ、適切な大きさでグラフを用いた視覚的な方法で示さなければならない。

出典:コンシューマネット・ジャパン
「教えて電力改革 シリーズ3 EUとドイツでは電気の購入契約における消費者保護をどのようにはかっているのか?」(2015年5月13日)

http://consumernet.jp/?p=2068

参考:コンシューマネット・ジャパン
「教えて電力システム改革 8: 発電源表示は難しくない! — ドイツにおける発電源表示 Q&A」(2015年12月1日)

http://consumernet.jp/?p=2997