2017年2月6日
パワーシフト・キャンペーン運営委員会
パワーシフト・キャンペーンは、株式会社Looopが長野県諏訪市で計画している「諏訪市四賀ソーラー事業(仮称)*1」について、森林保全や水源保全、土砂災害などの観点から懸念を持っています。
11月10日にパワーシフト参加団体で地元の団体の案内で現地を見学、12月21日にLooopを訪問し、計画見直しを求める要望書(PDFファイル)を提出しました。
Looopからは、アセスメント準備書に対しても厳しい意見があるため現状のまま進めることは困難であり、何らかの変更は検討していること、また近隣住民の方には説明の機会を作っていきたい旨の回答がありました。
1月7日には、Looopの案内で現地を再訪問し、具体的なアセスメントの実施状況等について説明を受けました。その結果再度確認・調査が必要な点が明らかとなっています。また、大規模な森林伐採や土砂災害の可能性等がある限り受け入れられないとする住民との間の隔たりが大きいことも明らかとなっています。
パワーシフト・キャンペーンとしても引き続き注目し、中止を含めた再検討に向けて意見を伝えるとともに対応を促していきたいと考えています。
また、持続可能な形での再生可能エネルギーの利用を進めていきたいという観点から、重視する5つの点に下記の注記を付け加えました。
http://power-shift.org/choice/
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*再生可能エネルギーの調達にあたっては、大規模な生態系や自然環境・景観の破壊が行われておらず、持続可能性への配慮を十分に行っている発電所からの調達であること、あわせて地域(当該および周辺の自治体や住民)のおおかたの合意を得ていることを前提とします。
以下のような調達は望ましくないと考えています。
・持続可能でない燃料を輸入する木質バイオマス発電
・大規模な森林伐採や土地改変をともなう太陽光発電
・生態系や周辺住民の健康への影響に配慮しない風力発電 など
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*1 諏訪市四賀ソーラー事業(仮称)
事業者名:株式会社Looop 事業概要:電気工作物の建設(太陽光発電所の設置 長野県環境影響評価条例 第一種事業) 敷地面積 188ha 事業地域:諏訪市 http://www.pref.nagano.lg.jp/kankyo/kurashi/kankyo/ekyohyoka/hyoka/tetsuzukichu/siga/siga.html
<以下要望書>
株式会社Looop
社長 中村創一郎様
2016年12月21日
パワーシフト・キャンペーン運営委員会
諏訪市四賀ソーラー事業(仮称)に関する要望書
前略
2015年にヒアリングに伺って以来、パワーシフト・キャンペーンでのご協力誠にありがとうございます。
さて、貴社が長野県にて計画中の「諏訪市四賀ソーラー事業(仮称)」につきまして、周辺自治体の住民の方や、長野県をはじめ各地で環境保全活動に取り組む方などより、森林保全や水源保全、土砂災害の観点から懸念しているとの連絡を受け、11月10日に運営メンバーを含む環境団体有志にて視察を行いました。
パワーシフト・キャンペーンとして、持続可能な形での再生可能エネルギーの利用を進めていきたい観点から、当事業に対して以下の懸念を持っています。
- 大規模な森林の伐採による、水源の枯渇、水質汚染の恐れがあること
- 大規模な森林伐採および土砂を河川に埋め立てることによる、土砂災害の恐れがあること
- 周辺自治体の住民、特に下流域にあたる茅野市の住民との直接の意見交換の場が十分ではなく、合意形成ができていないこと
- 下流域にあたる茅野市の住民が、関与しメリットを受けられるしくみとなっていないこと
パワーシフト・キャンペーンとしては、2011年に震災・津波被災地への支援に端を発し、自然と調和する再生可能エネルギーを進めようとしてきた貴社の姿勢に共感し協働してきた経緯から、ぜひ当事業、特に上記の点について再考をお願いしたいと考えています。
現在の形での計画は中止し、今後太陽光発電事業を行う場合には、下流域を含め関係する自治体や住民との合意形成につとめ、大規模な森林の伐採や土地改変を行わない範囲で、また現地および周辺の住民もメリットがあるような形の検討を要望いたします。
住民および環境団体の声を受けてご検討くださいますよう、心よりお願い申し上げます。持続可能で地域にメリットのある形での自然エネルギーをともに進めていくことができるよう願っています。
草々
パワーシフト・キャンペーン運営委員会
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