再エネを重視する新電力が相互に課題を共有し、政策課題に対しても連携した働きかけなどを行っていくための勉強会、第2回目は、6月25日(木)に、電力新市場をテーマとして開催しました。
電力会社6社、運営メンバー、メディアなど約35名が参加しました。
【1】原発・石炭火力を温存する電力新市場(原子力資料情報室 松久保肇さんより)
※資料(PDF)はこちら
(参考)eシフト「STOP! 原発・石炭火力を温存する新たな電力市場」
http://e-shift.org/?p=3827
<ポイント>
・旧一般電気事業者が非常に有利な状況にある。
・電力新市場は、旧一般電気事業者の費用を補填しようとする機能を持つ。
・新市場は、多くの場合、お金が新電力(特に再エネ新電力)から旧一電に流れるかたちをとる。
・新市場は、原発・石炭火力維持を促進、電力システム改革の努力が無に帰す。
・特に容量市場について、旧一電が保有する電源の多くは電気料金で資本費を回収済みであり、2重の利益となる。再エネ新電力は、旧一電の発電設備への依存が比較的低いにも関わらず、拠出金は支払わなければならない。
【2】意見交換
みんな電力三宅さんから、特に再エネ新電力への影響について、下記のようにコメントいただきました。
・再エネ新電力のような電源を持たない新電力は、コストだけ上がるが、大手電力は発電部門で収入もある。今の状況だとどう考えても大手電力に利益がある。小売と発電の完全分離が必要。再エネ電力にとって存続の危機とも言えるぐらいの問題である。
・電源の新陳代謝がしにくい(古い電源が温存される)のが新市場の特徴。一番打撃を受けるのが再エネ新電力だが、再エネ新電力の間でもインパクトが理解しにくく、認識が広がっていない。
・非常に複雑でわかりにくい制度であり、損しているのは市民。電力自由化は何のためだったのかということになる。国策でつくった原子力を今後自由化の中でどうするか、難しいバランスである。
・次のエネルギー基本計画で電源構成をどうするか。原発22%は難しく、再エネを大幅に増やす方向に構造を変えなければ無理。電力自由化を前に進める必要があるが、これらの市場は逆行する。そこを市民やメディア等で共有していく必要がある。
さらに、再エネ新電力や、再エネを選ぶ消費者の役割は大きいと強調します(パワーシフトの役割でもあります)。
・電力自由化は価格競争で成り立ってきた。もともと高い電力価格が、新電力の参入によって下げられたが、最終的に今大手電力の巻き返しにあっている。大手が持っている電力を新電力が買っている状況。
・小売自由化の意味を問うべき状況に来ている。小売事業者の役割はとても大きい。ここまで、FIT制度によって再エネ電源は増えてきたところ。今後再エネの価格が安くなっていくが、それを誰が買うのか?需要家だ。再エネを増やすために再エネ小売は大事である。だから再エネの小売をつぶさないような制度が必要。
【3】意見交換・今後のアクション提案
新電力にとっても、メディアや市民にとっても複雑でわかりにくい電力新市場。まずはこの問題をどう伝えるか、意見交換のなかで、以下のようなアクションが具体的に挙がりました。
・再エネ新電力の連携で、電力取引監視等委員会や公正取引委員会に申し入れ
・消費者・環境団体から、消費者庁などに申し入れ
・メインオークションの結果が出た段階での記者会見など発信
容量市場の実際の支払い発生は4年後なので、まだまだ働きかけはできます。また、価格が決まることで、影響がより具体的に見えてくることになります。
パワーシフト・キャンペーンでも、eシフトなどとも連携しながら、引き続き情報共有や働きかけを行います。
(2020年7月1日 パワーシフト・キャンペーン運営委員会)