電力自由化から6年 ―今こそ分散型の再エネ社会へ

2016年の電力小売全面自由化から6年がたちました。
4月、季節はすっかり春で、草や花がいきいきとしています。
しかし今、再エネや再エネ新電力をめぐる状況は、
真冬のような厳しさが続いています。

2022年冬の電力市場価格高騰は、2月3月も収まるどころか厳しさを増しています。(*)
再エネ新電力の間でも、電力販売事業をやめる事例も相次ぎ、各社苦境にあえいでいます。

このような状況は、「自由競争」のもと、大手電力が自社の利益を最大化する行動が許されているために生じています。
大手電力が大部分を所有している火力発電所や原発は、もとは国民全員の負担で作られたものです。
大手電力の独占を変えていくことは急務です。

また、日本の電力供給はいまだに4分の3を火力発電、つまり化石燃料に依存しています。
昨年から続く化石燃料価格の高騰や、ロシアのウクライナ侵攻によるリスクの増大、そして火力発電所の老朽化による発電設備自体の減少と「電力逼迫」のリスク増加など、
日本の電力供給をめぐる状況そのものも、ますます厳しくなっています。
原子力の再稼働の必要性が声高に叫ばれたり、非効率石炭火力のフェードアウトさえ見通せなくなっています。
これらは、大規模集中型の火力・原子力から分散型の再エネへの転換を、これまでわずかにしか進めてこなかったツケだとも言えます。
原子力は、解決策になるどころか、大規模電源への依存体制を維持し、
エネルギーシフトをますます遅らせます。新たな事故のリスクもあります。

こんな「真冬」の状況だからこそ、パワーシフトの加速が必要です。

私たちが実現したいのは、分散型の再エネ社会へのシフトです。
太陽の出ている昼間に電気を使ったり貯めたり、他地域に送ったりする、
雨や雪のときは、節電したり貯めた電気を使ったり揚水発電をしたり、地域間で融通したりする。
再生可能エネルギーを地域主体で進め、再エネ新電力を通じてみんなで使う。
地域の再エネと再エネ新電力が、地域で雇用やつながりを生み出す。
化石燃料や原子力への依存によるリスクを減らし、地域のつながりと安心を増やす。

パワーシフトとは、
持続可能な社会に向けて、
電力や社会のあり方を変えていくこと。

安全でフェアで手頃な価格の再エネを誰でもが使える社会をめざして、
もっと多くの人に知ってもらい、行動につなげたい。
そのために、あなたの力が必要です。
いろんな地域でたくさんの人たちが、それぞれに、いっせいに動く。
草木が次々と芽吹く春のような大きな変化を、一緒につくっていきましょう。

(*)これまで10円程度だった電気の仕入れ価格が、3月には月平均でも30円に近づいています。電気の販売価格が25~30円程度のため、大幅な赤字となります。
卸電力市場からの電気やFIT電気(市場価格に連動)の割合が高い再エネ新電力にとって、
大変な痛手となっています。
・3/7 (イベント)再エネ新電力の危機!〜みらいの再エネでんきを守ろう〜
https://power-shift.org/220307_event/
・今また、でんきの市場価格高騰?
https://power-shift.org/220120_jepx/

2022年4月1日
パワーシフト・キャンペーン運営委員会