自由学園もパワーシフト!環境についての学び


事業所名

学校法人 自由学園

ホームページ

https://www.jiyu.ac.jp/

 

選んだ電力会社

みんな電力

 

切り替えた施設

みらいかん、幼児生活団幼稚園、しののめ茶寮、光風寮、ほか(南沢キャンパス 東京都東久留米市)

明日館(東京都豊島区西池袋)

尚、南沢キャンパス全体の高圧電力契約については、市場価格高騰とそれに伴う値上げにより、2022年4月から契約先を変更しました。

 

電気の選考基準

次の3つを選考の基準にしました。

①再生可能エネルギーの電源比率が高い。

②発電所に環境に関わる懸念がないことが確認できる。

③経済性

 

その電力会社を選んだ理由、パワーシフトした理由

私たちの生活の中で、電気は照明・空調・パソコンの電源など欠くことのできないエネルギー源になっています。私たちの電気の消費によって生じる環境への負荷をゼロにすることは出来ませんが、極力減らしたいとの思いがありました。そのような中でパワーシフトをするきっかけとなったのが、2016年4月に始まった電力小売完全自由化に伴って需要者の責任が問われるようになったこと、そして2番目については短い言葉では表すことは出来ないものではありますが、私たち首都圏の住民が依存してきた東電福島原発で事故が発生したことに対する責任です。

学内で電力会社を選ぶに当たっての選考基準を上記のようにつくり、それを念頭に電力会社の調査を行なった結果、契約先としてみんな電力を選びました。選んだ理由をまとめると次の3点になります。

1.再生可能エネルギーの電源比率が業界トップレベル

CO2排出の少ない電力を使うことによって、電力消費による温暖化への影響を出来るかぎり低減することができる。            

2.発電所の顔が見える電力

電力を供給している発電所の内容が開示されていて、発電所に環境負荷などに関わる問題がないことが確認できる。              

3.適正な価格システム                     

他社に比べて従量料金に対して基本料金が抑えられていて、省エネ効果が反映される料金システムになっている。

 

パワーシフトにつながる取り組みやビジョンを教えてください。

自由学園ではこれまでも何かを使う場合に、そのものの調達元が確かなものを選んで使うようにしてきています。幼稚園から大学部までそれぞれ自分たちの畑を持ち、食材の一部ではありますが、「作り手の顔が見える野菜」を食べています。また70年かけて育ててきた学校林のスギ林から伐り出した「育てた人の顔が見える材木」を使って中学高校の6年間教室で使う机・椅子を自作しています。同じように持続可能なエネルギー社会を考えた調達元を考えた結果として今回のパワーシフトを行なうことになりました。

※学校林の木を使った机・椅子つくりの取組みはウッドデザイン賞2018奨励賞を受賞しました。

https://www.wooddesign.jp/pdf/wd2018_release-topprize20181120.pdf

 

 野菜を育てている実習圃場(3,000m²)


学校林のスギを使って自作する机・椅子

ほかにもパワーシフトにつながる取り組みがあれば教えてください。

自由学園では全校の代表者による「生活環境委員会」が毎月開かれて、月毎の電力使用量のデータに基づいて節電を励んでいます。高校以上の生徒・学生も委員会のメンバーとなり、委員長は大学部学生がしています。さらに電力会社の基本料金の決定根拠になる最大需要電力を抑えることを目的としてデマンド監視装置を設置して、全校のリアルタイムの使用電力が見られるようにしています

大学部の1,2年生では「生活経営研究実習」というグループ活動があり、そのグループの1つに資源・エネルギーグループがあります。今回のパワーシフトについて中学高校での報告と説明は資源・エネルギーグループの学生が行ないました。また2019年2月末にはその学生たちと供給元の1つである群馬県川場村の間伐材を使ったバイオマス発電所の見学を行いました。

※川場村発電所見学については朝日新聞連載「てんでんこ」シリーズ・電気のあしたで紹介されました。

https://www.asahi.com/articles/DA3S13935512.html

 

パワーシフト・キャンペーンに一言!

今回のパワーシフトは、持続可能なエネルギーの利用という点で言うならば、ゴールではなくスタートであるという認識を持って捉えています。このように言いますのは、例えば太陽光発電全体を見た場合には、環境破壊や景観被害を伴うメガソーラー問題があり、また今後やってくる太陽光パネル大量廃棄で社会的問題が起こらないかなどの課題が残っているからです。現在始まっている自然エネルギーの利用が、果たして持続可能なエネルギーになりうるかを、これから先見極めていくことがスタートしたのだと考えています。自然エネルギーの利用が最終的に持続可能なエネルギーの確立に繋がるように、私たちにでも出来ることがあれば是非協力していきたいと思っています。

(2019年4月 自由学園 鈴木康平)