寿光院は東京都江戸川区にある浄土宗のお寺です。
寿光院 (じゅこういん)
1997年COP3の1年前の設立から参加している、NPO「足元から地球温暖化を考える市民ネットえどがわ」(略称:足温ネット)のメンバーなども参画して、環境配慮の省エネや化学物質不使用建材のみで建築された伽藍に、1999年の竣工時から「足温ネット」の事業として、出力5.4kwの太陽光パネルによる「市民立江戸川第一発電所」を併設して、余剰電力買取りの系統連系のために、当時はそれ以外に選択肢のなかった東京電力と契約していたのですが、卒FITにより、2020年6月、パワーシフトしました。
寿光院では他にも、敷地を提供してNPOが建設運営している高齢者協同住宅「ほっと館」も同様に、3kwの足温ネット「市民立第2発電所」事業で東電との系統連系から、卒FITでみんな電力に切り替え、また、寿光院が開設し、それぞれ別のNPO法人が運営している、障害者グループホーム「あみたハウス」と児童デイサービス「ばんびーのえすと」もみんな電力に切り替えています。
また別に、寿光院に10.58kw、ほっと館に10.52kw、寿光院駐車場に22kwのそれぞれ「えど・そら1/2/3号」を設置し、全量をみんな電力に売却しています。
そして、子ども支援NGO「江戸川子どもおんぶず」の拠点としている一軒家「松江の家」は足温ネットにより、0.9kwのパネルと再生鉛バッテリーの組み合わせで完全オフグリッド電力で賄われており、2020年度気候変動アクション環境大臣賞を受賞し、今年は脱炭素チャレンジカップ「気象キャスターネットワーク最優秀市民・学校エコ活動賞」を頂きました。
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見樹院(けんじゅいん)は東京都文京区にある浄土宗のお寺です。檀信徒はじめ市民とのフラットな関係で運営され、様々なNGO/NPOや市民グループとつながりがあります。2011年の宗祖(浄土宗)法然上人の800回忌に向け、リニューアルプロジェクトに取り組んだ際、基本的なテーマとして、「見樹院」の名称のイメージからも、環境を軸にすることにしました。
見樹院 (けんじゅいん)
見樹院HP:http://www.nam-mind.jp/
選んだ電力会社 | みんな電力株式会社(時期:2017年12月から) |
切り替えた事業所(所在地) | 見樹院(東京都文京区) |
電気の選考基準 | 再生可能エネルギーを優先する会社 |
- 見樹院紹介
小石川傳通院塔頭(たっちゅう)の小規模な寺院ですが、檀信徒はじめ市民とのフラットな関係で運営され、様々なNGO/NPOや市民グループとつながり、講演会、ワークショップ、上映会、演奏会なども積極的に開催しています。
また、「懐かしい未来」として注目されるインド北部ラダック地方とつながるNGO「ジュレー・ラダック」の事務所もあり、インド・チベット文化や持続可能な社会、自然農業などを志向する人々が集います。そして、14戸の集合住宅を併設したケミカルフリーの伽藍は、コーポラティブ方式で建築された都市型エコビレッジです。
- 貴院がパワーシフトに踏み切った理由をお聞かせください
見樹院は大給松平家の菩提寺として300年来の歴史があり、大分府内藩関係者を中心とした檀信徒により、時代の変化の中で震災、戦災をも乗り越えて守られてきました。非常に小規模な寺院として厳しい運営状況の中でも、社会的にも意義のある存在としてこれからも引き継いでいけるよう、2011年の宗祖(浄土宗)法然上人の800回忌に向け、多くの関係者の協力を得てリニューアルプロジェクトに取り組みました。
そこで基本的なテーマとして、「見樹院」の名称のイメージからも、環境を軸にすることにしました。
また、それまでの鎮護国家、あるいは修行僧を中心とした仏教を、民衆の実践(念仏・題目・禅)に変えていった浄土宗を含む鎌倉仏教の意義を踏まえ、一人ひとりが生き方と未来に責任をもって選択する社会を担う場とすることをめざしました。
そこで、一般社団法人「天然住宅」との共同企画により、木材は無垢材を使用するほか、建材はすべて接着剤、防腐防虫防カビ剤を一切使っていない天然の素材のみを使い、300年以上耐用の建築で、趣旨に賛同する人々を募り集合住宅(マンション)との複合施設としてコーポラティブ方式で実現しました。
建物の屋上は、すべての住戸にあてがわれた菜園として利用しているためソーラーパネルの設置はできなかったので、その分「電気を選ぶ」という形で、未来を考えていきたいと思いました。
・パワーシフトを実現するための取組
■1993年から参加している「原子力行政を問い直す宗教者の会」で、現在見樹院に東京事務所を担っており、そこで情報を発信し、パワーシフトの必要性を伝えていきます。
■寿光院関連施設で発電事業を行っている「足元から地球温暖化を考える市民ネットえどがわ」でも、地域だけでなくパワーシフトを訴えています。
■INEB(International Network of Engaged Buddhists)という仏教者のネットワークでも、「Eco-Temple Network」を結成し、先進事例を含めた各国各地、各寺院の取り組みを学びあい、協力し合っており、そこからの情報発信も行っています。
■檀信徒など見樹院関係者、地域の仏教会でも、独自のチラシ等を作成し呼び掛けています。
・今後の取組
■仏教会の集まりなどでパワーシフトを紹介するとき、「安い新電力は石炭火力を多用するので注意」というと、一部の人から「今の日本の石炭火力は目覚ましく進化していて、環境影響は改善され、全く問題はないということを知らないのか」と物知り顔で反論されます。こんな《刷り込み》が行われている電力業界の宣伝力に対抗するためには、データを示しわかりやすく説明するツールが必要と思います。
■今後も技術革新や制度の見直しなどの状況の変化にも対応できるよう、丁寧で継続的な学習会などを行っていく必要があると思います。
■環境団体に限らず、願いを共有できるグループとのつながりの中でパワーシフトを訴えていきたいと思います。
・パワーシフト・キャンペーンへ一言!
とてつもない敵を相手にしているだけに、様々なレベルで地道に取り組んで行かなくてはなりません。果てしない道のりですが、あらゆるいのちと未来に愛情と責任をもって、信頼を育みつつ、あきらめず、ともに取り組んで行きたいと思います。よろしくお願いいたします。
(2018年1月、2021年11月更新)