<報告>6/20-22 PV-JAPANに出展しました!

企業の再生可能エネルギー社会への備え着々と

     ~6/20-22 PV-JAPAN(太陽光に関する展示会)出展報告

 

6/20~22の3日間、パシフィコ横浜において、太陽光に関する総合展示会が開催されました。

http://www.jpea.gr.jp/pvj2018/

 

パワーシフト・キャンペーンも、ブース出展および出展者セミナーにおいて、再生可能エネルギー(以下再エネ)社会を目指そう!とアピールしました。

太陽光パネルメーカや電力システムメーカなどビジネスの要素が多い中、環境をアピールをするブースは少なかったので、パワーシフト・キャンペーンに情報を求める方もいました。

 

 

1.ブース出展報告

ブース出展では、パワーシフト・キャンペーンの共同出展者として以下の団体、プラットフォームが参加しました。

<共同出展>

市民電力連絡会

気候ネットワーク

自然エネルギー100%プラットフォーム(CAN−Japan)

環境エネルギー政策研究所

A SEED JAPAN

FoE Japan (事務局)

 

今回は、企業の参加が多くRE100がひとつのキーワードになるため、RE100加盟企業のロゴをポスターにしました。

(RE100参加企業ロゴ抜粋)

国内で宣言した企業は7社+環境省、外務省となっており、まだまだ少ないものの、このところ立て続けに加入企業が増えました。加入は今後ますます活発化するものと感じています。自然エネルギーへの流れのなかで、自然エネルギーを重視する電力会社を選択する「パワーシフト」をアピールしました。自社電源や再エネ電源に直接アクセスすることが難しい企業にとって「パワーシフト」は、持続可能なエネルギー社会を目指すための、手軽で、志ある(未来ある)電力会社を応援することのできる投票行動であると思います。

(自然エネルギー重視の電力会社25社)

ブース展示の様子

市民電力連絡会のブース展示の様子

 

ブースに来ていただき記名いただいた数は約70人、訪問者数は約210人でした。企業、大学、研究者、コンサル、電力小売、売電、メディア、個人など多様な業種の方々が訪れてくだったのも他のイベントに無い特徴で、つながりが拡がったのは良かったと思います。会社として来訪されたかたの中で16人もの方が個人的にパワーシフト宣言登録をしてくだいました。

 

2.パワーシフト・キャンペーン出展者セミナー

(出展者セミナーたて看板)

(緑色部分:再エネ供給拡大を目指す電力)

①自然エネルギー100%をめぐる世界の動向と日本

環境エネルギー政策研究所/自然エネルギー100%プラットフォーム
古屋 将太 氏

 

資料はこちら>古屋資料180621自然エネルギ.pdf

司会の手塚氏(パワーシフト・キャンペーン/市民エネルギーとっとり)よりパワーシフト・キャンペーンの趣旨と講師紹介をしました。

 

出展者セミナー会場の席はほぼ満席で50名以上の聴講者が参加してくださいました。

古屋氏は国や自治体が自然エネルギー100%を宣言する流れについて報告され、一例としてコペンハーゲン市は2025年までに自然エネルギー100%の年を目指すとのこと。RE100の参加企業も増え、日本からは7社が加入している。こういった流れで自然エネルギー100%プラットフォームがあり、また企業・自治体による自然エネルギー電力調達ガイドのとりまとめを行ったことを報告しました。

世界は自然エネルギーへ確実にシフトしている中で、日本の遅れはとても厳しい状況とのこと。世界の流れに乗り遅れないようにとのことでした。

(古屋氏)

 

 

②自然エネルギーvs.石炭?〜パリ協定・国連気候変動交渉の最新動向から〜

気候ネットワーク
伊与田 昌慶 氏

 

資料はこちら>伊与田資料RE vs COAL.pdf

 

こちらも聴講者は約50名で出展者セミナー会場はほぼ満席でした。伊与田氏は「石炭」のキーワードでどれだけ反響があるか興味があると言っていました。しかし始まってからもパネルを見て立ち止まって聞き入る方がいたり、途中で入場する方もいました。

まず、気候変動に関するパリ協定の目標「産業革命前からの地球平均気温上昇を1.5〜2℃未満に抑えること」が紹介されました。研究者によれば、パリ協定の1.5℃目標を達成するためには地球上にある化石燃料埋蔵量の85%以上はもはや燃やさず、地中に埋めたままにしておく必要があります。すなわち、化石燃料の時代を終わらせなければならないとのこと。化石燃料でも、リスクの大きい原発でもなく、今後は省エネを強化し、自然エネルギー100%へと舵を切る必要があります。日本だと一般に自然エネ100%は夢物語と思われがちですが、世界のエネルギー専門家の約7割は「世界の自然エネルギー100%は実現可能で現実的である」との考えに賛同しており、現実的なオプションの一つになってきています。

パリ協定を実現するためには、最もCO2排出量の多い石炭火力発電については、既存の発電所は廃炉に、新増設計画は中止するということが不可欠です。世界が脱石炭に向かっている中、日本の石炭火力発電所の新増設計画は先進国で突出して多く、異常です。気候変動や大気汚染を深刻化させるだけでなく、再エネ市場の成長を妨げ、ビジネスチャンスを奪いかねない石炭計画には、反対の声をあげていくことが必要です。

(伊与田氏)

 

3.全体報告

 

-企業は再エネを求めている!

 

パワーシフト・キャンペーンで紹介していない電力小売会社の訪問がありました。パワーシフト・キャンペーンではまだまだ紹介しきれていない、調べ切れていない電力会社が多数あります。そんな中、ブースに足を運んでくださった方は、「パワーシフト・キャンペーンで紹介していただけるか?」「どんな基準で紹介しているのか?」といった質問があったので、まずは「再エネ社会構築への理念」、「できるだけ地域で回るしくみ」「持続可能な燃料とはなにか?」「大手電力会社の後方支援とならないこと」「原発と石炭火力発電所はセットで止めること」などについてご説明させていただきました。再エネ比率が高ければ良いという単純な基準ではないことに耳を傾けてくださり、今後情報交換させていただく電力会社が増えました!

ある電力会社は、元々化石燃料を得意とする電源構成であったが、国内でも再エネを求める企業が多くなっているため、再エネ電源の調達を計画しているとのこと。企業は自社価値を維持向上させるためには再エネにシフトすることが「世界の流れ」「日本の流れ」になっていることを痛感した瞬間でした。

 

-太陽光発電の展示会で再エネアピール!

 

今回の展示会は、グランド再生可能エネルギー2018国際会議が別会場で開催され、その展示会である「再生可能エネルギー世界展示会」が併設されました。展示会の総入場者数は21,881人で、昨年26,938人より減少しているものの、展示は太陽光発電だけでなく、風力、小水力、バイオマスなど再エネに関する多様な企業/研究の展示や工夫が見られ、パワーシフト・キャンペーンのような再エネ普及の情報が重なり合い、再エネ総合展示会として機能していて良かったと思います。また企業のSDGsを考える上で、再エネの動向とどう関わるべきかを検討する情報が得られたのではと思います。

 

-国産太陽光パネルは厳しい?

 

国産の太陽光パネルは高いので販売が苦戦していると聞きます。それでも国産パネルメーカは多数あり、販売方法に工夫もあります。パネルを販売し、それで発電した電気を買う、という方法であったり、パネルの高額な初期投資費用を負担する方法もあります。さらにあるパネルメーカでは「FIT(固定価格買取制度)期間中だけでなくFIT後の電気も買い取ります」という新商品を出しました。20年後の約束です。また、太陽光パネルが数十年後に寿命を迎えるときのために、リサイクルや廃棄回収方法を研究しているパネルメーカもいました。これも安心して購入できる重要な取り組みだと思います。

また、太陽「熱」(温水)はエネルギー効率が良いので注目されていますが、太陽光パネルの裏に温水が流れる構造、ハイブリッド太陽光パネルが販売されています。展示会では国産2社がPRしていました。パワーシフト・キャンペーンの運営団体のひとつであるPV-NETもハイブリッドパネルを紹介しています。これから付ける方はエネルギー効率が高いので注目したいところです。

企業は自社利益を追求するだけでなく、消費者の声を聞くことで結果的に自社の経営リスクを減らしているのだと感じました。また我々市民は、その声を行政に届けることで、例えばリサイクルや廃棄に関する制度化を促し、企業がリサイクルへ参加しやすくすることも大切だと思いました。

 

-再エネは経済/社会を停滞させるのか?

 

同展示会セミナーで、北村和也氏は「再エネを普及させても経済に悪影響を与えないことは実証済み」としており、コストなど多方面で考えても自然エネルギーは受け入れられるエネルギーであり、既存のしがらみをなくし、国は原発コスト、石炭火力コスト、太陽光コストを正直に比較し情報を出さないと真の持続可能な社会は目指せないと思いました。

またテングレル・マルティン氏(ブルームバーグ・ニューエナジー・ファイナンス)は「2017年比2050年は化石燃料の電源割合は大きく減り、再エネは大幅に増えるだろう」とのこと。

日本では7/3に第5次エネルギー基本計画が閣議決定されました。本計画では、原発は「運転コストが廉価」である、再生可能エネルギーは「火力に依存している」など、明らかに誤りが繰り返し記述され、原発維持を正当化するような誘導が行われています。

詳細は以下(FoE Japan HP) ↓

http://www.foejapan.org/energy/eshift/180703.html

今回の展示会から企業の方々の動きを見ると、国の方針とは異なる、再エネ社会へ進んでいる/進まないと自社が経営維持できないという考え感じます。国による再エネ抑制活動にもかかわらず、ゆっくりとではありますが確実に再エネ社会へ向かっていると感じます。

 

-パワーシフト・キャンペーンの役割とは

 

再生可能エネルギー100%をめざす大企業のイニシアティブ「RE100」が注目されています。中小企業、自治体、団体、大学・教育機関などは「自然エネルギー100%プラットフォーム<http://go100re.jp>」に参加するのが良いと思います。また再エネを自社で利用したいという企業にとってはまずはパワーシフトを薦めています。まずは簡単に再エネへシフトする、持続可能な社会への投資をするという観点でお話すると、共感してくださる方が多いです。

市民電力連絡会会長の竹村英明さんは「個人の方々には地道に話をして自然エネルギー重視の電力会社に切り替えていただくしかない」と言っていました。パワーシフト・キャンペーンで紹介しているグリーンピープルズパワーでは地道に話をする機会を多くした結果もあり、申し込みが増えているそうです。

 

-出展者、来場者の熱い想い

 

パワーシフト・キャンペーンのブースに来ていただいた方のうち実に16名の方がパワーシフト宣言してくださいました!もちろん会社でパワーシフト宣言というのはありませんので、会社として来場した方が、お話を聞いてくださり、個人的に宣言してくださいました。素晴らしいことです。

さらに会社としてパワーシフトできたらいいと言う方は2名、マンションを変えたいという方が1名いました。マンションは住民を集めて勉強会を開きたい、ぜひスピーチして欲しいとのお誘いが。会社やマンションのパワーシフトは大変だとは思いますが、その想いを実現できるよう喜んで参加したいと思います。

中部大学のブースでは、みんな電力と共同研究した太陽光パネルの高効率化に関する研究を教えていただきました。中部大学の先生はわざわざ当ブースまで来てくださり、エネルギーだけでなく今の社会の問題点を網羅的に説明してくださり勉強になりました。

 

 

再エネへの流れは企業ではあたりまえになっていることを感じる展示会での出会いでした。市民の想いと企業の方向を確実なものにするために、これからもアピールしていきたいと思います。

 

FaceBookページはこちら ↓ (当日投稿した様子が写真で見られます)

https://www.facebook.com/events/1652476104807229/

(2018年7月 田渕)