脱原発脱炭素の取組で、年20万円の電気代削減
・会社名 日本労働者協同組合(ワーカーズコープ)連合会
・選んだ電力 みんな電力株式会社(2017年12月から)
・切り替えた事業所
東京バイオマス地域福祉事業所 あぐり~ん東京(東京都大田区萩中)
- 電気選考の理由
・原発由来の電気や会社とのお付き合いを控えたい
・再生可能エネルギー率の高い新電力会社とお付き合いしたい
・バイオディーゼル発電所建設時の売電先となる
ワーカーズコープは、働く一人ひとりが出資し、労働をし、経営をする新しい働き方の団体。「雇う」「雇われる」の関係が無く、全員が平等な権利を持って事業所を独立採算制で運営しています。事業所の運営方針を決めるのはメンバーの全員一致が原則。保育園や児童館や高齢者福祉センターの運営、若者の就労支援、生活保護者支援などに事業を広げています。全国443ケ所の事業所のある中、あぐり~ん東京が初めてパワーシフトに動き出しました。
- 貴事業所がパワーシフトに踏み切った理由をお聞かせください。
再生可能エネルギーをやっている事業者が「原発再稼働や、そこで作られた電力を使い、お金を支払うと言うのはいかがなものか!? 積極的に再生可能エネルギーを私達も使い、将来的にはRE100を目指すべきなのではないか!?」という考えからでした。
というのは、あぐり~ん東京では、使用済みてんぷら油でバイオディーゼル燃料(BDF)を精製するバイオマス燃料製造業者だからです。BDFは軽油で動くディーゼルエンジンを動かします。市販のほぼ無改造のバスやトラックを動かし、発電機で電力を生み出しています。廃食油の約9割がBDFに精製され、残り1割がグリセリンになります。グリセリンも燃料として再利用して「ごみゼロ」を推進しています。
原料の廃食油は町の飲食店やお弁当屋さん等を一軒一軒廻って集めます。脱原発で一致している城南信用金庫様の協力も得て、70ケ所に廃油回収ボックスを設置させていただいておりますし、有限会社リボーンの『天ぷらバス』プロジェクトには当事業所の100%BDF(B100)を使ってもらっています。年間15万ℓ強の廃油を回収して、年間約4万8千ℓのバイオディーゼル燃料を生産しています。
また、新電力にした方が電気代も下がるという情報も得ました。その中で、なるべく再生可能エネルギー率の高い会社を探していました。「みんな電力株式会社」は仕事の関係で知っていましたが、あるイベントで直接お会いする機会がありました。「ほぼ再生可能エネルギー」で電気を供給していること。「再生可能エネルギー由来の電力は積極的に買い入れもされている事」が同社の大きな魅力でした。私たちは自前で原料を集めてきて、燃料を作り、その燃料で電気を作れる可能性があります。つまり、電気のユーザーとなるだけではなくて、電力の供給元に将来なれる。その電気を同社が買ってくれるというので、ビジネスパートナーとして非常に面白い相手です。将来の新たなビジネスモデルを考えてみんな電気(株)さんにしました。
ただ東京23区では廃棄ガス規制の条例の為に、据置発電ができるのは、非常に小さい発電機のみです。これは多くのSOx,NOx(硫黄酸化物、窒素酸化物)を排出する鉱物油(ガソリンや軽油や重油)のために作られた、大気汚染を防止する為の規制です。この規制を今日の社会やSDGs目標に合せた、活用にする必要があると感じています。
- パワーシフトを行った結果をお聞かせください。
年間で電気代が20万円安くなりました。この工場はもともと鉄工所で、工場用の三相200Vの電源を取っていました。それを見直して、一気に安くなりました。
- 今後さらにパワーシフトを進めるため、どんな取組みを考えていますか?
私たちは全国のワーカーズコープにも「みんな電力(株)」に変えてもらうアクションを起こしています。私自身(所長の黒田志保さん)もチラシを作って、裏面にはパワーシフトのチラシを縮小印刷して、全国会議で配布しました。昨年2018年4月にはみんな電気の大石社長にワーカーズコープ連合会の古村理事長と面会もしてもらいました。今後同社と取引可能な地区の全事業所に広げたいと考えております。
また、みんな電気の営業から「パワーシフトな事業所登録」をするよう勧められて、登録フォームに申し込みしました。
- パワーシフト・キャンペーンへ一言!
ただ書類を送って待つだけで、難しいことはまったくないです。どうしても何か難しそうに考えてしまうのですね。再生可能エネルギーの電気に変えること。それが脱原発・脱炭素、2030年に向けたSDGsの具体的な行動になる。こんなに簡単に結びつくことはないです。本当に一人でも多く、一人でも早く、電気を切り替えようというのが、第一のメッセージです。
パワーシフトは脱原発・脱炭素だけではなく、エネルギーを地産地消して、地域から出ていくお金をなるべく地域の中に回していくことです。そう考えると、地域に小さな発電所をいっぱい持つのがいい。その一つとして、天ぷら油のBDFで発電所が役立てたら良いなぁとと思っています。21世紀中庸に向かって、地域資源とお金が循環する、小さなエネルギーと経済の循環型社会、SDGs持続可能な社会作りに向けて、皆で頑張って行こうというのが、第2番目のメッセージです。
(2019年5月高橋喜宣)