太陽光発電オーナーのための電力自由化FAQ

全国の太陽光発電オーナーが会員となっているNGO団体「太陽光発電所ネットワーク(PV-Net)」が、「太陽光発電オーナーのための電力自由化FAQ」を作成しました。
「買電」と「売電」の両方に関係のあるオーナーの皆さまの中には、自由化に際してどのように電気を買う先・売る先を変更すれば良いか、悩まれている方も多いかと思います。
ぜひ買電・売電をともに乗り替えを考える際にお役立て下さい。

<太陽光発電所ネットワークお問い合せ>
http://www.greenenergy.jp/about/access_test2.html

太陽光発電オーナーのための電力自由化FAQ

初版 2016年5月11日
(文責: PV-Net電力自由化対応プロジェクト)

【電力購入先(買電先)の変更について】

Q1. 太陽光発電を設置しているのですが、買電先の電力会社を変更できますか?

A1. 変更できます。

買電先だけを変更することもできますし、買電先だけでなく売電先も変更することもできます。買電先と売電先は別の電力会社にすることもできます。(ただし、現状では住宅の余剰電力を買い取る電力会社は少ない実態です。⇒ Q10)

Q2. 買電について、太陽光発電があることが電力会社の切り換えに障害になったりすることはありませんか?

A2. 技術的な問題や制度上の制約はありません。

Q3. 良く分からないので、今の契約のまま放っておいても大丈夫ですか?

A3. 買電については、少なくとも2020年3月までは現在の電力会社の供給契約を継続できることが法律で保障されています。

Q4. 別の電力会社へ切り替えたら、電力量計(メーター)はどうなりますか? 

A4. スマートメーターが設置されていない場合は、無償でスマートメーターに取り換えられます。従来の売電用と買電用の2つのメーターは1つのスマートメーターに統合され、売電量と買電量が交互に表示されるようになります。
*スマートメーター: 30分単位で計量し、検針・料金徴収業務に必要な双方向通信機能や遠隔開閉機能を有する新しい電力量計

Q5. 別の電力会社へ切り替えたら、電線や宅内の工事も必要になりますか?

A5. 不要です。電線やメーターの保守・管理の事業責任は現在の電力会社(旧一般電気事業者)のままで変わらないためです。

Q6. 別の電力会社へ切り替えたら、検針票はどうなりますか?

A6. 買電先を変更した場合も、売電先を変更した場合も変更先の電力会社から通知されることになります。通知方法や通知時期の詳細は変更先の電力会社にお問い合わせください。

Q7. 別の電力会社へ切り替える場合、考えられるデメリットにはどんなものがありますか?

A7. 以下のように、切り換え先の電力会社によっては現在利用しているサービスと同等のサービスが提供されない場合がある等、経済性や利便性での影響が考えられます。

  • 契約期間が定められ、途中解約に制限がついたり、違約金が発生する場合がある
  • 太陽光発電オーナーに有利だった時間帯別料金メニューがない
    (今まで「電化上手」「ナイト8」「はぴeタイム」など、深夜の電気料金が大幅に安い「時間帯別料金プラン」をご契約の場合、新電力の料金プランでは電気代が高くなる場合があります)
  • 支払方法が変わる(口座引落しがなく、クレジットカードのみの支払い等)
  • 検針票データの通知方法が変わる、通知時期が以前より遅くなる
  • 前の電力会社の付加サービスが利用できなくなる
    (たとえば過去2年分の購入電力量や使用電力量のデータ管理ができる東京電力のオンラインサービス「でんき家計簿」。でんき家計簿の場合は別の電力会社に変えてもID・パスワードは退会しないかぎり維持できますが、他社に切替えた分のデータ更新はなくなります)

Q8. スマートメーターがついたら、いままで発電の設備容量で決まっていたアンペア数より小さいアンペア契約も出来るようになるって本当ですか?

A8. スマートメーターによる契約アンペア容量の設定機能により、条件付きで出来る場合があります。詳しくは電気工事店または電力会社にお問合せください。
参考:http://www.tepco.co.jp/e-rates/workshop/images/160201_SM.pdf

Q9. スマートメーターがついたら他に何か良いことありますか?

A9. スマートメーターの通信に対応したHEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)機器を使えば、30分単位で電力購入量や売電量を知ることができるようになります。

【売電先の変更について】

Q10. 売電先を別の電力会社に変えることもできますか?

A10. 固定価格買取制度(FIT)の運用ルールが変更になったため、一時より数は減りましたがいまでも買取りを行っている会社があります。インターネットで「電力買取サービス」等のキーワードで検索できます。地域の限定や、全量売電のみ、FIT単価○円以上等の条件がつく場合がありますので、詳細は電力会社にご確認ください。

Q11. 売電先を変えたら買取単価は変わりますか?

A11. 電力会社によって法定のFIT価格より条件が良くなる場合もあります。

Q12 . 売電先を変えたらFITの買取期間も変わりますか?

A12. 設置時を起点とする法定期間(10kW未満余剰買取10年間、10kW以上全量買取20年間)に変わりはありません。

Q13. 売電先を変えるときに気をつけることはありますか?

A13. 発電量の検針データの通知方法や通知時期が変更になる、支払いのサイクルが数ヶ月に1度となる、毎月の場合でも現在より支払時期が遅くなる、等の場合があります。検討先の電力会社の条件を事前に十分確認してください。

Q14. 売電先を変える手続きはどうなりますか?

A14. 変更先の電力会社と買取りの契約である特定契約を結ぶことになります。元の電力会社への解約については、原則として、変更しようとしている電力会社を通じて手続きを行います。必要書類は変更しようとしている電力会社にお問い合せ下さい。また、契約書の形式によっては印紙税がかかる場合があります。

Q15. 売電先が倒産した場合など、元に戻すことはできますか?

A15. FIT残存期間がある限り、一般送配電事業者が買取義務者になりますので、手続きをすれば元の電力会社に戻すこともできます。ただし、契約手続きの時期(タイミング)によっては売電できない期間が発生する場合があります。

Q16. 売電先を変えたら、「購入電力量のお知らせ」はどうなりますか?

A16. これまで直接受け取っていた「売電量に関するお知らせ」は、届かなくなります。売電を切り替えた先の電力会社の通知方法をご確認ください。

Q17. 私の家の太陽光発電は2019年11月で固定価格買取りが終了しますが、電力自由化でなにか変わることはありますか?

A17. 現時点で買取り終了後の措置についてはなにも決まっていません。このままですと、継続して売電したい場合は、電力会社が提示する従来のFIT価格より大幅に安くなると思われる価格で応じることになるでしょう。
別の方法として、蓄電池を利用して発電の自家消費量を増やして、自給自足、オフグリッド化を進めていく、という考え方もあります。
固定価格買取りでなくなる電気は、消費者に帰属していた環境価値を取り戻すことになります。その分を評価する電力会社が現れることも考えられます。この問題に関しては、PV-Netとして対応策を検討中です。

Q18. メーターやブレーカーのトラブルや停電などの場合は、どこに問い合わせればいいですか?

A18. 変更後の電力会社の窓口が受付けます。電線の切断などで原因が明らかな場合は、送配電事業者の情報を用いて問い合わせに応じてくれます。原因が不明な場合でも、ブレーカーの操作法などの案内や解決しない場合は送配電事業者、電気工事店など適切な連絡先の紹介をすることになっています。太陽光発電設備そのもののトラブルが明白な場合は、設置工事業者へお問い合わせください。

以上