4月27日、電力ガス取引監視等委員会から回答がありました。
https://power-shift.org/220428_jepx_yousei/
5月18日、消費者庁からも回答がありました。
https://power-shift.org/220518_jepx_yousei/
2020年12月下旬から1月中旬にかけて、電力の市場価格が異例の高騰となりました。その後一部制度の見直しが行われたものの、2021年秋から3月にかけて再び高騰が起こっています。
電力の販売価格が低圧家庭向けでも25~30円のところ、天候や時間帯によって、1コマ(30分単位)80円という価格高騰が繰り返し発生したことは、「自由競争」として容認される範囲を超えているのではないでしょうか。4月に入り、平均価格はやや落ち着いたものの、夕方の価格が25~30円を超える状況は続いています。特に東京エリアでは、天候によって昼間でも比較的高い価格です。来冬以降も、化石燃料価格のさらなる上昇が予測されるなか、同様の事態が発生することが十分に考えられます。
再エネ調達を重視する新電力や地域新電力は、市場価格に連動するFIT電気や、市場からの調達割合が高くなっています。このような再エネ新電力が、今回の高騰で特に大きな打撃を受けています。すでに事業中止の事例もあり、今後も増える恐れがあります。このままでは、消費者の負担も増大し、選択の権利も阻害される事態となりかねません。また、高圧部門ではさらに影響が大きくなっています。企業や自治体の再エネ調達が、再エネ新電力の廃業や新規受入停止などにより、大きく制限されるおそれがあります。大手電力も引き受けない事例が相次いでいます。
原因は、大手電力が大規模電源のほとんどを所有し、また化石燃料の調達も行っているため、自社の利益を最大化する行動がとられているためであると、審議会の議論でも指摘されています(*)。大手電力が、日本全体の電力安定供給という使命を果たす中で、それが一部認められるとしても、上記のような価格高騰が続く状況や、負担の格差を見れば、是正の必要性は明らかです。
パワーシフト・キャンペーンは、この件に対して具体的な対策を求める要請書を、経済産業省電力ガス取引監視等委員会と、消費者庁に対して提出しました。
4月27日を期限として回答も求めていますので、またご報告いたします。
●経済産業省への要請・質問内容 本文はこちら(PDF)
1.2021年度冬季(2~3月)と2020年度冬季(2~3月)との電力市場の取引額の比較。その差額の発生理由は何か、また差額の行先はどこか。
2.2020年度および2021年度冬の電力市場価格高騰の状況について、「自由競争の範囲」であると言えるか否か。市場制度の不備として、是正の必要がないと言えるか。
3.今後どのような対応策を検討しているか。
●消費者庁への要請・質問内容 本文はこちら(PDF)
1.市場価格高騰が今後も続けば新電力の電気料金の値上げが避けられないおそれがある。このような消費者への負担増大のリスクについてどう考えるか。
2.新電力の倒産や事業停止、新規受付停止が今後も増加すれば、消費者の再エネ選択が大きく制限されるおそれがある。この状況についてどう考えるか。
3.今後どのような対応策を検討しているか。
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* 経済産業省 総合資源エネルギー調査会 電力ガス事業分科会 電力・ガス基本政策小委員会において、燃料の転売やブロック入札について、大手電力会社が自由競争のもとに行っている行為として確認されている。
https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/denryoku_gas/index.html
<参考>
・再エネ新電力の切実な声!「市場価格高騰の経営への打撃」に関するアンケート結果
https://power-shift.org/220210_jepx/
・動画/資料あり)3/7再エネ新電力の危機!〜みらいの再エネでんきを守ろう〜
https://power-shift.org/220307_event/
・今また、でんきの市場価格高騰?
https://power-shift.org/220120_jepx/