三河の山里コミュニティパワー

 

地域を元気に!

 

「三河の山里コミュニティパワー」サイト
http://my-power.jp

会社名

株式会社三河の山里コミュニティパワー

URL http://my-power.jp
供給エリア 中部電力管内
小売供給の開始時期

高圧: 2019年11月
低圧(事業所など):2020年7月
低圧(家庭):2021年4月

事業対象(販売先) 自治体、民間企業、一般家庭
電源構成

FIT電気 6%
再エネ 1%
その他 93%
<2022年度実績>
再エネ(バイオマス) 48%
廃棄物 52%
<2023年度計画>

電源の調達先,供給先(補足)

市民電力からの調達:なし
一般家庭の太陽光(余剰)買取:可 
卒FIT買取:可 
高圧販売:可

調達している再エネ設備容量 バイオマス発電(卒FIT): 4,200kw
電源構成などの開示・表示方法 URL:http://my-power.jp/
需給調整 外部委託
会社情報
本社所在地:愛知県豊田市岩神町仲田20 足助病院内
設立年月日:2019年6月
代表社名:代表取締役 早川 富博
資本金:1680万円
現在の事業内容:小売電気事業、電源開発事業、地域課題解決事業
小売電気事業者登録:A0641(登録日:2019年8月8日)
申込方法 郵送/電話
お問合せ

 

 

URL: http://my-power.jp
TEL:0565-61-2773
Email:info@my-power.jp

MYパワーは、

豊田市の中山間地域にある足助病院の23年間の地域医療活動から生まれました。地域の人たちの手による地域の課題解決の会社です。
MYパワーは地域内の経済循環をつくります。

そのために資本は地域から、人材も地域からにこだわります。地域のみなさんの出資、投資、寄付をお待ちしています。ひとり暮らしのお年寄りの見守り、買い物や病院への移動手段などを地域のみなさんと一緒にしくみを作っていきます。

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  • 電力小売事業を始めたきっかけはなんでしょうか?

きっかけは3点あります。これは三河山里コミュニティパワー(以下MYパワー)の設立過程に由来します。

地域新電力構想を考え始めたのは中部地域の11人の様々な立場の個人の集まりでした。この構想を行政である豊田市に提案をすることから始まります。

1)地域医療を地域住民で構築していく。

現在の地域医療(ケア、医療、福祉)はこのままの推移では病院と行政で守っていけないと言う危機感から、山間地域の拠点病院である、足助病院の院長であった早川富博氏(現在は足助病院名誉院長・MYパワー社長)が地域住民とともに様々な活動を二十数年に渡り行っていました。今後活動を継続していくために税金を使わない新たな財源が必要でした。電力小売事業の収益をその財源に当てたいと言うことがきっかけのひとつです。

2)行政としての豊田市は平成の大合併で一緒になった山間地域の疲弊が課題でした。税金に頼らない形で地域の人たちとともに、地域新電力を立ち上げることで、その収益を地域課題解決の財源としていく。行政組織は市民の税金で成り立っていますが、MYパワーは住民の電気代の収益で成り立っています。私たちは民間公務員と言っています。山間地域の公共施設にMYパワーから電気を購入していただくことで最低限の電力の小売会社の経営のベースを確保できます。そのことで住民主体の課題解決の活動が可能となります。これが行政としてのモチベーションとなりました。MYパワーは民間主体の取り組みですが、豊田市とは協定を結んで進めています。

3)2011年の東日本大震災での福島の原発事故を契機に中部地域で電気の利用者が電気を選べる仕組みを作りたいと思いました。利用者に電気を選んでもらうためには再生可能エネルギーを選択できる電力の小売会社が必要となると言うことが三つ目のきっかけです。

 

  • 貴社の特徴はなんでしょうか?

1)つなぐと補完で「すきま」を埋める

MYパワーは地域の人たち、行政、企業の「すきま」を埋める役割を目指しています。地域の課題は多様で、地域の人たちだけで解決が難しいことがあります。同じく行政でも解決できない、企業でも解決できないことも数多くあります。図にあるように、今後この解決できない領域=「すきま」がますます広がっていくと考えています。

この広がっていく穴を誰かが埋めていく必要があります。1人で無理なら、3人でやってみよう。地域でムリ、行政でムリ、企業でムリでもみんなで力を合わせてみようということを考えました。大切なことは地域の得意なこと(地域でできること)、行政が得意なこと、企業が得意なことはそれぞれ違うということです。お互いのことをよく理解し、尊敬できる関係が取れるかが大切です。

もうひとつ大切にしていることは「補完」という考え方です。MYパワーは「地域の人たちの手で」地域のことをしていただきたいと考えています。MYパワーはそのことを全力で後押ししていきます。同じように行政、企業に対してもです。それが「つなぐ」「補完」ということです。ある意味「つなぐ」ことと「補完」以外何もしない会社でありたいと思っています。

2)MYパワーの目的は山間地域の課題解決です。その課題の一つは地域からお金が流出していることです。年間1%の経済を取り戻し、年間1%の人口流出を戻していくことです。地域のお金の流出として1.食料、2.エネルギー、3.ケアが三大要因と捉えて取り組んでいます。

3)地域の人手とお金で地域の課題解決を目指しています。=地域自治

 

  • もっとも苦労している(した)ことや現状の課題はなんでしょうか?

MYパワー設立のためにまず豊田市の公共施設の電気を切り替えてもらうことを目指しました。豊田市とともに可能性調査から始まりましたが、電力の専門家である中部電力と豊田市、三河の山里課題解決ファーム(MYパワー設立のための一般社団法人)と三者で協議して進めることが条件として提示されました。立場の違う三者の協議は立場の違う三者が地域新電力を立ち上げるための三者の目的を一致させるために3年間の時間を費やしました。

三者による地域新電力の立ち上げはできましたが、この間1番大切な地域のみなさんと一緒にできなかったことが後々響いてくることになりました。地域の人たちにとっては自分ごととしてMYパワーは存在できていません。現在でもこのことに多くの時間を費やしています。2023年より中部電力離脱に伴い、豊田市、中部電力、三河山里課題解決ファームの3者協定から豊田市の三河の山里課題解決ファームの2者協定となりました。

2016年の電力小売自由化があって地域新電力を立ち上げられたのですが、電力の特異性が原因なのでしょうが、国の制度面の遅れなどからくる、我々自身では如何ともできない課題が次から次へと降りかかってきます。このことは我々の力だけではなく取り巻く人々の協力なくしては解決しません。設立した会社を潰さないようにするために地域と行政との信頼関係づくりや、様々な柔軟な取り組みが必要とされています。

 

  • 将来のビジョンを教えてください。

山間地域の高齢化は進み、所有者がいなくなると田畑、山林、家屋などの資産管理が必要となります。いずれ都市でも同様なことが起きると思っています。このような地域資源を適正に管理するとともに有効活用するための『地域経営組織(RMO)』のような仕組みが必要となります。MYパワーは地域の人たちとともに電力事業だけでなく様々な課題に取り組めるような組織を目指していくことになるのでしょう。

 

  • パワーシフトキャンペーンに一言!

パワーシフトキャンペーンの重視する7つのポイントを拝見して、環境(ここでは狭義のワードとして使っています)と言う視点が1番重視されていると感じます。(地域のことは触れていないと言う意味ではありません。)

私(萩原)は長年環境活動に携わってきました。市民を環境の視点で巻き込んでいくことの困難さをずっと抱えてきました。環境NPOの押し付けになっていないかと言う自問自答です。

MYパワーを始めて大切にしていることは電気を切り替えていただく人たち、一緒にやろうと言う人たちが何を大切にしているのか、その人たちの課題は何か、その大切なことや課題を解決することから物事を組み立てることだと思っています。その意味から、MYパワーは地域の課題解決を第一の目標としています。地域の課題解決で環境が良くなると言う脈絡で進めています。

エネルギーは1.戦争、2.汚染、3.地域の貧困の原因を作っていると考えています。MYパワーは3.の地域の貧困を第一にエネルギーを捉えていると言うことでもあります。

よくある行政のフレーズに脱炭素社会、カーボンゼロシティがありますが、このワードは地域住民には深く届かないと感じています。

「脱炭素社会を目指して、地域課題解決するのか」、「地域課題解決を目指すと脱炭素社会が訪れる」のかは同じようで違う捉え方をされてしまいます。

(三河の山里コミュニティパワー 専務取締役 萩原 喜之)

(2024年1月)