17000を超える声!「でんきの市場価格高騰の実態解明と公平なしくみを」署名提出

パワーシフト・キャンペーンは4月30日(金)午後、17047筆を超える署名「再エネ普及に大きなカベ?!でんき市場価格高騰の実態解明と公平なしくみを求めます」を資源エネルギー庁電力・ガス事業部 電力産業・市場室に提出しました。

後半に大きく伸びた署名数は、市民の高い関心を示しています。
4月28日の「電力・ガス基本政策小委員会」にて、「2020 年度冬期の電力需給ひっ迫・市場価格高騰に係る検証 中間取りまとめ(案)」が示されました。
第34回 総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 電力・ガス基本政策小委員会(METI/経済産業省)

2月から3月にかけて、電力ガス取引監視等委員会にて状況の調査が行われました。
具体的には、大手の電力会社による売り入札と買い入札が適切であったかが確認され、「大手電力会社による不当な売り惜しみはなかった」と結論づけられました。

3月29日の内閣府再エネ規制改革タスクフォースでは、構成員から、
「不当な行為がないのに異常事態が生じたとすれば、市場制度の 不備が最大の要因ということになる。」
等の意見が、詳細な分析とともに出されています。

第7回 再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース 議事次第 : 規制改革 – 内閣府 (cao.go.jp)
構成員からの意見(資料6-1)

また、この事態に対して、再エネを重視する新電力などいくつかのグループも、経済産業省に対して繰り返し働きかけをしています。「今回の価格高騰は制度の未整備による異常事態であり、その支払いは特別損失として計上したい」「一般送配電事業者の差益は適切に還元してほしい」といった要望が出されています。

市場制度の不備を最大の要因とする価格高騰の甚大な影響が、「自己責任」という形で新電力、特に再エネを重視する新電力に押しつけられています。

パワーシフト・キャンペーンでは、署名提出にあたり改めて、以下を要請しました。
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1.原因究明と再発防止策を
・大手電力と再エネ新電力の間の情報格差があるのではないか。
・大手電力の不当な買い越しや売り渋りはなかったとの結論だったが、大手電力の需要見積もりのずれがあったことは確かではないか。
https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/denryoku_gas/pdf/033_s03_00.pdf
2.送配電会社の過剰なインバランス利益について、過剰な損失を受けた新電力に還元すべきではないか
・インバランス収支を旧一電、新電力の別で公表すべき
・過去の累積赤字と相殺する案が出ているが、今回の事象に対する対応は別にすべき
3.再エネ普及、主力電源化の趣旨に反するのではないか
・特に、再エネを重視する新電力に多大な影響が出た。制度のゆがみ・不備と言える。このままでは、再エネ新電力の発展や、再エネの普及にも支障があると考えられる。
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この件で4月30日から5月29日まで、パブリックコメントが呼びかけられています。
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=620121018&Mode=0
ぜひ一言でも、声を伝えましょう。

<問題の背景は・・?>
「1月の電気代が10万円に?!」
一部の再エネ新電力と契約している消費者から、悲痛な声が聞かれました。
天然ガスの在庫不足を背景に、大手電力などから電力市場への供給電力量がしぼられたことで、電力の市場価格が高騰しました。電力市場価格は通常は平均で10円程度、高くなる時間帯でも50円程度でした。ところが、2021年1月中旬には、250円を超える時間が発生するほど高騰しました。

また市場価格に連動しているFIT電気(固定価格買取制度の支援を受けている再エネ電気)の仕入れ価格も高騰しました。その打撃を一番受けたのが、再エネ新電力や地域新電力でした。独自の化石燃料電源を持たず、FIT電気や市場からの電気を中心に調達している場合が多いためです。

しかし、冒頭のような極端な電気代高騰となったのは一部の消費者で、「市場価格と連動した価格体系」をとっていた新電力と契約していた場合です。ほとんどの新電力は、消費者に価格高騰の転嫁を行っていません。そのため、消費者の電気代は変わっていませんが、数千万・数億円単位の損失を新電力みずからで抱えることとなったのです。
一方、大手電力は逆に市場に電気を売っている側です。エリアよって多少の影響もありましたが、新電力の打撃とは比べ物になりません。

大手電力会社と新電力、とくに再エネ供給をめざす新電力との間に大きな格差と不平等な状況がありますが、今回の市場価格高騰でもその不平等が露見し、格差がさらに拡大されることとなっているのです。

(2021年4月、パワーシフト・キャンペーン運営委員会)