パワーシフトで紹介している電力会社のシェアが4倍超に!(2016年度比) 

パワーシフト・キャンペーンは、2015年に発足して以来、再エネ利用者を増やすという理念をもとに、再エネを重視して調達を行う電力小売会社(取次含む、以下電力会社)を紹介しています。

現在紹介している35社の2020年度の販売電力量のシェア合計は、約0.21%(一部推定を含む)となったことがわかりました。シェアとして見れば少ないものの、価格で決まりがちな電力というサービスとしては注目すべき数値です。

さらに2016年度比で見ると、パワーシフトで紹介している電力会社の電力シェアは「約4倍」に増加しました。これは新電力全体の伸び(2.2倍)よりも大幅に大きく、各社の努力に加え「パワーシフト」という理念が広まっている結果とも言えます。
今後も、この理念をさらに広げ、持続可能な再エネ社会の構築を目指していきます。

パワーシフト・キャンペーンで紹介している電力会社数は現在35社(2021年8月)。一口に電気の販売と言っても、さまざまな特徴を持った会社が存在します。

パワーシフトで紹介している電力会社

これらの会社は再エネ電気(FITを含む)を調達することにこだわっており、さらに地産地消を特徴としているところも多く、地域社会との共存や地域経済への貢献から持続可能なエネルギー社会を目指しています。

今回、パワーシフト・キャンペーンで紹介している電力会社35社の2020年度販売電力量を合算したところ、約1.7[TWh]でした。これは、国内全体の販売電力量 約822[TWh]*1の約0.21%になります(グラフ1)。ちなみに新電力全体のシェアは約18.8%で、その中のパワーシフト電力の割合は1%に達したところです。

この数値はまだ小さいものの、某大手ガス会社が販売する電力が国内全体シェアの1%を超えた程度であることからすれば、「パワーシフトな電力会社」も、多くの人が聞いたことがあるという状況になるまで、そう時間はかからないのではないでしょうか。


グラフ1. 販売電力量シェアの推移

さらに2016年度からの販売電力量シェアの伸びは、パワーシフトで紹介している電力は約4倍になっています(グラフ2)。新電力全体の伸びは約2.2倍であることからすると、パワーシフト電力は大幅に伸びていることがわかります。


グラフ2. 販売電力量シェアの伸び(2016年度比)

この理由のひとつとして、パワーシフト・キャンペーンで紹介している電力会社数が増えていることがあげられますが、2016年度以降に紹介を開始した会社の電力量を差し引いても伸び率は約3.5倍でした。従って、紹介する会社が増えたこととは別の理由で大幅に伸びています。
さらにパワーシフトで紹介している電力のうち、上位3社の電力販売量は、それぞれ10倍、7倍、36倍という驚異的な伸び率となっています(2016年度比)。

大幅な伸び率を達成している理由はなんでしょうか。それは再エネの重要性が認識され始め、単に国内の再エネ比率が増加しているだけではなく、それ以上にパワーシフト・キャンペーンで掲げる理念が支持され始めているからではないでしょうか。

ちなみに、東電グループとして、東京電力エナジパートナーと新電力であるテプコカスタマーサービスを合算したシェアを見ると、2016年度に比べて約20%下がっており、大手電力にとっては大きな痛手となっていると考えられます。

これは再エネへの転換が十分でないことや石炭火力発電の新設・推進、原発問題への対応など、市民の声に向き合わなかった影響もあるでしょう。

このような自由化の流れで本来不利となる大手電力を援護/救済/支援するために 、最近では容量市場などさまざまな制度変更*2も行われています。

また、大規模な需要家に対して大手電力が低価格を提示する「取り戻し営業*3」が行われたり、大手電力のカルテルの疑いが問題となるなど、必死の巻き返しも行われています。

再エネ新電力にとって、制度や競争条件については、厳しい状況であることは確かです。
しかし、気候危機への対応や地域活性化、SDGs、人や地域のゆたかなつながり、といった観点で考えれば、再エネや地域を重視した新電力へのシフトは当然の流れとなるでしょう。
そのような流れから、今後はさらに、持続可能なエネルギー社会への転換を理念に据えて経営をすることが求められています。*4

大手の新電力(ガス会社や携帯電話会社など)でも再エネを中心とした販売が行われています。

ただ、石炭火力なども同時に進めていたり、再エネといっても大規模なものが中心であったり、地域で反対運動を起こしているなど持続可能ではないものが含まれている場合も多く、注意が必要です。

このように国内の新電力のシェアは増えており、再エネを販売する電力会社も多く存在します。その中でもパワーシフト・キャンペーンは再エネの中身にも注意し、地域とのつながりを大切にするなどの観点で電力会社を紹介しています。そういったこだわりが認められ、広まっているのを感じます。

パワーシフト・キャンペーンはこれからも、市民の選択で社会のシフトを促し、市民の力で持続可能なエネルギー社会をつくるという理念のもと活動し続けますのでみなさまの後押しをよろしくお願いいたします。

(データ元)
資源エネルギー庁電力調査統計 2016年度~2020年度 各ファイル 3-(1) 電力需要実績 (xlsx形式)
https://www.enecho.meti.go.jp/statistics/electric_power/ep002/results_archive.html

*1 国内の総電力量とは:2020年度。一般事業者計(沖縄電も含む)+新電力計。旧一般電気事業者にしかない特定需要(経過措置料金)、最終保障供給、離島供給含む総計。

*2 容量市場-再エネ新電力に大きな打撃
https://power-shift.org/youryoushijyo_201009/
パワーシフト電力会社セミナー・意見交換(第5回) 「託送料金問題と訴訟の取り組み」
https://power-shift.org/201111_seminar-report/

*3 「東京都内自治体の電力調達の状況に関する調査2020」報告
https://power-shift.org/jichitai-tokyo-2020report/

*4 「持続可能な再エネ」電力会社を選ぶことで「よい社会」を選べる
https://power-shift.org/new_document1810/

(グラフの条件)
*計算年度において紹介している会社の電力量を使用(過去に遡及しない)。取次電力量は供給元の会社のデータを使用
*コープみらい及びみやぎ生協の販売電力量は供給元である地球クラブのうち30%(推定)とした
*トドック電力は2つの電気メニューがあり、そのうち再エネメニューのみとした(販売電力量のうち10%(ヒアリングによる推定)、残り90%は再エネ重視ではない一般メニュー)

(2021年8月 パワーシフト・キャンペーン)