12/6 「でんきの市場価格高騰に対策を」署名を提出、FIT制度についても議論しました

12月6日、国会エネルギー調査会(準備会)にて、5,127筆の署名を経済産業省に提出しました。オンラインや紙で、たくさんの方に署名に参加いただき、本当にありがとうございました。

こういった声もあってか、12月14日には、公正取引委員会が、新電力の競争環境を調査するとの報道がありました。ようやく、ではありますが、今後の動きに注目です。

・日経新聞 2022年12月15日「新電力の競争環境調査 公取委、大手電力の寡占を問題視」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA143PD0U2A211C2000000/

集会では、パワーシフトの吉田から署名とともに自治体・地域新電力への影響を紹介、グリーンピープルズパワーの竹村英明さんからも、大手電力と特に再エネ新電力との事業環境格差やFIT電気の引き渡し価格(回避可能費用)について課題を伝え、国会議員のみなさんや有識者、参加者のみなさんとも問題を共有することができました。

経済産業省からは、残念ながら制度の見直しは「検討していない」と回答。再エネを重視する新電力への支援としては、保険等の利用を勧めているとのことでした。

FIT価格の回避可能費用(小売電気事業者が調達する際の価格)は、2017年度からの改正FIT法で、市場価格に連動することとなっています。しかし、市場価格がFIT価格を逆転して大きく超えることは、当時想定されていなかったはずです。

超過分は、費用負担調整機関(OCCTO)に返納されることとなっています(*1)。
しかし、 一部の小売電気事業者、つまりその消費者が負担している市場価格高騰分が、すべての消費者の再エネ賦課金に還元されるというのは、制度としてゆがんでいるのではないでしょうか。再エネを重視する新電力を選択する人(企業や個人)の負担が大きくなり、再エネ選択の促進、再エネの導入促進とも矛盾します。

飯田哲也さんからも、再エネ賦課金の算定の際に、回避可能費用を推計している(*2)のだから、その推計価格を適用すべきではないか、それを明らかに超える金額を集めるとなれば、制度の不備ではないかとコメントがありました。

来年度の再エネ賦課金はどのように計算されるのか、今年度戻される分がどのように算入されるのか、注目しなければなりません。

12月6日の集会では、高橋洋さんも「FIT制度は再エネ発電事業者を支援するもので、小売事業者を支援するのではないというのが経産省の考え方だ。それも問題だが、100歩譲ってそれが正しいとすれば、電力市場のあり方を改革すべき」とコメント。

飯田さんも「卸電力市場は市場として崩壊している、JEPXもFITもゼロから見直さなければならない。FITによって再エネが増えて、「回避された調達費用」はJEPXの価格ではないはず」とコメントされました。

最後に竹村さんからも、「再エネ新電力が苦しいのは確かだが、値上げによって消費者の負担が増えている。経産省が何もしないということは、消費者に負担を強いるということだ」と改めて強調されました。

パワーシフト・キャンペーンでも、その後会合でも議論し、FIT電気の市場価格連動について改めて資料にまとめました。(PDFはこちら
追加質問への回答はこちら (12月23日付)
引き続き訴えていきます。

<FIT電気が消費者に届くまでの電気と対価の流れ>

経済産業省資料より

12月6日の集会では、エネルギー政策全体もあわせてテーマとなっていました。
金子勝さんからは「電力自由化の目的は達成しているかといえば、していない」とコメント、高橋洋さんからは、エネルギー危機への対応として、原発は解決策にならない、再エネ中心のエネルギー転換が必要との講演がありました。
※資料と映像はこちら
http://blog.livedoor.jp/gempatsu0/archives/30285056.html

*1 再エネ大量導入小委員会 第24回資料より「市場価格高騰を踏まえたFIT制度上の制度的対応」2021年2月16日
https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/saisei_kano/pdf/024_01_00.pdf
*2 経済産業省「2022年度のFIT買取単価・賦課金単価について」2022年3月25日
https://www.meti.go.jp/press/2021/03/20220325006/20220325006.html

(2022年12月、パワーシフト・キャンペーン運営委員会)